トランプ米政権、補助金削減で大学に圧力=学問の自由維持に懸念広がる
【ニューヨーク時事】トランプ米政権が補助金削減を「武器」に各大学への圧力を強めている。21日には、ニューヨークの名門コロンビア大が補助金4億ドル(約600億円)の打ち切り回避のためカリキュラムの見直しを表明。米メディアは「トランプ大統領に屈した」などと報じ、学問の自由の抑圧、将来的な研究力の低下につながると懸念が広がっている。
政権は7日、コロンビア大が「ユダヤ人学生に対する嫌がらせへの対策を怠り続けた」として補助金の打ち切りを発表。10日には同大やハーバード大を含む全米の60校に対し「反ユダヤ主義」への対策を講じなければ「強制措置を取る」と警告する書簡を送付した。
米国の一部の大学では昨年、パレスチナ自治区ガザで攻撃を続けるイスラエルに反対する抗議活動が活発化。コロンビア大は運動の中心地で、親イスラエルのトランプ政権の「一番の標的」となった。
コロンビア大は21日、政権の要求を受け入れ、パレスチナを含む中東研究のカリキュラム見直しに着手したと公表。抗議活動の取り締まり策として、キャンパス内で健康や宗教上の理由を除きマスクの着用を禁じた他、新たに36人の「特別職員」を雇って警備を強化すると明らかにした。
トランプ氏は昨年の大統領選中に「教育機関を急進左派から取り戻す」と公言。19日には、トランスジェンダー選手を学生競技に参加させていたとしてペンシルベニア大への補助金1億7500万ドル(約260億円)を凍結した。
補助金削減に加え、連邦政府の縮小を進める政権の方針で、既に多くの大学に影響が出ている。公衆衛生分野などで有名なジョンズ・ホプキンス大は職員2000人超を解雇。イリノイ大では大豆の研究室が来月閉鎖を余儀なくされる。コロンビア大のストックウェル生物科学部長は米紙ニューヨーク・タイムズに「大学は研究無しに存在できない」と述べ、危機感をあらわにした。
[時事通信社]
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