小林製薬、問われる統治改革=「脱創業家」、株主は疑問視―紅麹問題、発覚から1年

小林製薬の紅麹(べにこうじ)配合サプリメントによる健康被害問題発覚から22日で1年。同社は被害者への補償とともに、品質管理部門の強化など「脱創業家」を掲げてガバナンス(企業統治)改革を進めるが、株主らからは「不十分」との声が上がる。再建に向けた視界は晴れない。
小林製薬が問題を公表したのは昨年3月22日。健康被害を把握してから2カ月以上がたっており、対応の遅れに批判が集中した。外部の弁護士による検証委員会で社内体制を調査し、再発防止に向けて品質の安全性を保証する新部署を設置。医療費支払いなど被害者対応も進めている。
昨年夏には小林章浩社長が引責辞任し、専務の山根聡氏が創業家以外で初の社長に就任。「同質性」から脱却し、多様性を強化する企業風土への転換を目指した。今月28日の株主総会後には山根氏も退任、豊田賀一執行役員が社長に昇格する予定で、「人心一新」(山根氏)を図る。
しかし、10%超の株式を保有する香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントは、「創業家の影響力が依然として残っている」と、改革の実効性を疑問視する。2月の臨時株主総会で独自の取締役選任案は否決されたものの、3割弱の株主の支持を集めた。オアシスは今月の定時総会でも会社提案人事に反対を呼び掛けている。
小林製薬の2024年12月期の連結純利益は、上場後初の減益となった。対象製品の回収費用や被害者への補償などで特別損失を計上したためだが、補償費用の全体像は不明瞭で、増益を見込む25年12月期も関連損失が膨らむ可能性がある。
小林製薬は21日、国内外の従業員を対象に品質や安全に関する研修会を開催した。山根氏は「品質と安全を最優先で考える『お客さまファーストの経営』を進めねばならない」などと語ったが、紅麹問題の影響は今も色濃く残っている。

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