背後にバッハ氏の影=IOC初の女性会長誕生

【コスタナバリノ(ギリシャ)時事】国際オリンピック委員会(IOC)は20日、ギリシャのコスタナバリノでの総会で会長選を行い、ジンバブエ出身のカースティ・コベントリー氏(41)が女性で初めて選ばれた。
元競泳選手のコベントリー氏は、五輪5大会に出場して金2個を含む7個のメダルを獲得。母国ではスポーツ大臣を務め、恵まれない地域の子供たちを支援する活動なども行っている。2人の娘を持つ母親でもある。
2013年にアスリート委員になってからIOCに10年以上も携わってきた。現在は理事。最年少でも経歴はほとんどの候補者よりも長く、IOC全体でも「ベテラン」と言える存在。バッハ氏にも近い位置にいた。
新時代にふさわしいリーダーには違いない。71歳のバッハ氏からの交代は劇的な変化にも映るが、一方では「(バッハ氏が)最も院政を敷きやすい候補者が選ばれた」と見る五輪関係者もいる。
バッハ氏は「7人全員に支援と援助をした」と話したが、自身の路線を継承してくれる存在のコベントリー氏を推しているとの声は以前からあった。IOC委員の多くは大きな改革を望んでいないとの事情もあり、新会長選出の背後にはバッハ氏の影が見え隠れする。
今後解決すべき課題は多い。28年夏季五輪はロサンゼルス。トランプ米大統領はトランスジェンダー選手の女子競技参加を禁じる大統領令に署名した。多様性を重視するIOCが、どう折り合いをつけるか。コベントリー氏は「大統領は大会の成功を願っている。コミュニケーションが重要」と話す。早くも手腕が問われることになる。
[時事通信社]
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