地下鉄サリン事件から30年=遺族ら追悼「忘れないで」―現場に献花の被害者も・東京

14人が死亡、6000人以上が負傷したオウム真理教による地下鉄サリン事件は20日で発生から30年となった。駅員らが死亡した東京メトロ霞ケ関駅(東京都千代田区)では献花台が設置され、遺族の高橋シズヱさん(78)らが犠牲者を悼んだ。
高橋さんは献花後、報道陣の取材に応じ、「被害者救済ではいろいろなことが改善されたり、新しい制度ができたり、長い30年だった」と振り返った。
さらに、「Aleph(アレフ)」など教団の後継団体が今なお活動していることを念頭に、「私たちはずっと戦っている。本当はこんな人生ではなかったのに、という悔しい思いもある」と強調。「(事件を)決して風化させないで若い人たちをカルトから守っていきたい。事件を忘れないでほしい」と訴えた。
発生時刻に近い午前8時すぎには同駅の駅員約10人が黙とうをささげ、林隆弥霞ケ関駅務管区長が献花した。中野洋昌国土交通相も献花、黙とうに訪れた。
同駅では、サリンが入っていた袋の片付けに当たった助役で高橋さんの夫の一正さん=当時(50)=と、代々木電車区助役の菱沼恒夫さん=同(51)=が亡くなった。
東京メトロは、犠牲者が出た日比谷線小伝馬町駅や丸ノ内線中野坂上駅など5駅にも献花台を設置。遺族や乗客らの献花を受け付けた。
通勤中、小伝馬町駅で被害に遭った女性(51)は事件以来、初めて同駅を訪れ、1本の花を添えた。サリンで苦しむ人であふれたあの日の惨状を思い出し、これまで足を運べなかったという。
女性は、今も視界の違和感や突発的な発熱などに悩まされていると明かす。「被害者は今でもこんなに苦しんでいるのに、アレフなどは野放しになっている。あんなひどいことは二度と起こらないようにしないといけない」と語気を強めた。
[時事通信社]



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