楽しんで金星=高安、悲願へ一歩―大相撲春場所

緊張感に包まれた結びの一番でも、土俵の高安は楽しんでいた。「いい雰囲気。会場も盛り上がっていて気持ちがよかった」。豊昇龍に快勝して約2年半ぶりに挙げた金星は、悲願へ踏み出す大きな一歩となった。
過去の対戦成績は9勝2敗。合口は良かった。かち上げてから左を差した後、振りほどかれたものの、前に出てきたところをいなし、最後は右で土俵下へ飛ばした。「いい相撲が取れた。達成感がある」。高田川審判部長(元関脇安芸乃島)も「よく動いているし、前に出る意識が強かった。高安を褒めるべきだ」とうなるほど、活気あふれる取り口だった。
20年の相撲人生。何度もけがを経験し、腰には常に不安を抱えるが、今場所の動きは若々しい。相撲への情熱は衰えず、「今が一番楽しい」と35歳の元大関は明るい表情で話す。
「順風満帆ではなかった。やり残したことが自分を突き動かしている」。1敗を堅持し、トップと並んで折り返した。初賜杯へ、最後までひたむきに走り続ける覚悟だ。
[時事通信社]
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