家畜ワクチンで談合=卸2社に排除措置命令―公取委

山形県などが発注する家畜用ワクチンの入札で談合したとして、公正取引委員会は13日、独禁法違反(不当な取引制限)で、いずれも動物用医薬品卸の「アグロジャパン」(新潟市)と「小田島商事」(岩手県花巻市)に、再発防止を求める排除措置命令を出した。
公取委は課徴金減免制度の適用をした上で、2社に計567万円の納付も命じた。2社と同じく立ち入り検査を受けた「MPアグロ」(北海道北広島市)は、違反認定されたものの自主的に違反を申告したため処分を免れた。
公取委によると、3社は遅くとも2020年以降、山形県発注の家畜伝染病「豚熱(CSF)」ワクチンや、公益社団法人「山形県畜産協会」が発注する豚熱以外の牛・豚用ワクチンの入札などで、事前に受注業者や落札金額を決めていた。
受注価格の下落防止を図り、安定的に利益を得る目的だったとみられ、豚熱ワクチンでは談合中に1回分93~96円だった価格が、終了後は70円に下がった。
3社は「山形県動物薬品器材協会」の会合名目で集まり受注調整を行っていたが、MPアグロが23年11月、他の2社に今後は受注調整をしないと通告したという。
公取委は13日、同協会の上部団体の一般社団法人「全国動物薬品器材協会」(東京都文京区)に対し、会員への独禁法順守の徹底を要請した。
アグロジャパンは「コンプライアンス(法令順守)体制の強化と再発防止策の徹底に引き続き取り組む」とコメント。小田島商事も「今後の再発防止と信頼回復に全力を尽くす」とした。
ワクチン発注元の山形県の吉村美栄子知事は「排除措置命令と課徴金納付命令がなされたことは誠に遺憾。今後とも調達業務の執行に当たり、公平性と競争性の確保にしっかりと取り組んでいく」と強調した。
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