2025-02-18 14:32国際

米の対外援助見直しで打撃=ウクライナの地雷除去―今秋、日本で支援国会議

 【キーウ時事】間もなく3年となるロシアによる侵攻で、ウクライナは国土の4分の1近くに当たる約13万9000平方キロが地雷や不発弾によって汚染された。ウクライナは国際社会の協力を得て官民一体となって地雷除去に取り組んでいるが、トランプ米政権の対外援助見直しが大きな打撃となっている。資金不足で要員確保などに影響が出始めているといい、現地のNGOは「非常に深刻な状況だ」と訴えている。
 ◇最大のドナー失う
 「米国務省という最大のドナーを失った。その結果、既に約150人の地雷処理者の生活を保障できなくなった」。NGO「ウクライナ地雷処理者協会」のティムール・ピストリウハ会長は険しい表情を見せた。「彼らは経験を積んだ処理者だ。2022年に始まった戦争後に高めてきたわれわれの能力を失うことになり、憂慮している」と語った。
 トランプ大統領は今年1月の2期目就任後、自らの外交政策に沿わない対外援助に支出しないと定めた大統領令に署名。これを受け、国務省は同省や国際開発局(USAID)を通じた対外援助の一時停止を発表した。ワシントンの連邦地裁が今月13日に政府資金の拠出を再開するよう求める暫定命令を出したが、先行きは不透明だ。
 米国の対外援助見直しの影響により、ロシアが大量の地雷を敷設した北部チェルニヒウでは「有力な国際NGOの事務所が閉鎖に追い込まれた」(ピストリウハ氏)。ウクライナ政府は23年に地雷で汚染された土地の80%を10年以内に利用できるようにするとの目標を表明。しかし、侵攻の長期化に米国の援助見直しが追い打ちをかけ、目標達成には暗雲が漂う。
 「オランダやデンマーク、ノルウェーなどの援助を得ているが、米国の支援額をカバーすることはできない」とピストリウハ氏。欧州連合(EU)などにも苦境を伝え、協力を求めているという。
 ◇死者329人
 ウクライナ非常事態庁によると、今年2月時点で侵攻開始以降の地雷による死者は329人(うち子供17人)で、負傷者は801人(同91人)。非常事態庁の作業員24人も命を落とした。
 こうした中、今秋に東京でウクライナの地雷対策に関する国際会議を開く日本への期待が高まっている。同会議は23年にクロアチアで初開催。24年はスイスで開かれた。スイスの会議に参加したピストリウハ氏は「ウクライナ人にとって本当に重要な会議だ。日本はぜひ力を発揮してほしい」と強調する。
 日本政府は昨年7月、国際協力機構(JICA)を通じ、日本企業が開発した地雷除去機の供与を開始。これまでに約20台が非常事態庁に引き渡された。同庁地雷対策局のミコラ・ディディク部長は「日本から提供された機材によって農業の再開が可能になり、人々の安全が守られている」として、「国際的な協力をさらに強化することが重要だ」と呼び掛けた。 
[時事通信社]

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