2025-02-17 14:20国際

ドローン、戦況変えられず=開発加速も技術競争激化―侵攻受けるウクライナ

 【キーウ時事】間もなく3年となるロシアによる侵攻で、兵力で劣るウクライナはドローンの開発と運用に活路を見いだそうとした。ゼレンスキー大統領はドローンに関し「ウクライナは先頭に立たなければならない。リソース(資源)は惜しまない」と一層の開発加速へ檄(げき)を飛ばすが、ロシアとの技術競争はいたちごっこ。戦況をウクライナ優位に変えるには至っていない。
 ◇学生向け展示会
 首都キーウ(キエフ)市内で今月7日、技術系学校の学生らを対象にした防衛装備品の展示会が開かれた。ドローン開発などを推進する戦略産業省が企画。軍が前線で多用する攻撃ドローン「バンパイア」や小型ドローン、電波妨害装置などが展示され、学生らは熱心に話を聞いていた。同省関係者は「前線で使われる製品を見せ、その必要性を理解し、関心を持ってもらうのが目的だ」と説明し、「ソ連製ではなく、現代的で機動的な兵器だ」と自信を見せた。
 ゼレンスキー氏は昨年10月、ウクライナは年間400万機のドローンを生産できると強調。戦略産業省関係者は防衛産業には現在、多額の投資が行われており、若者にとっては待遇面でも魅力的なはずだと語った。
 展示会には目出し帽をかぶったウクライナ国家親衛隊の特殊部隊「オメガ」の隊員らも参加して、学生らにドローンの操作法を指南。屋外では機関銃を据え付けて無人戦闘車両としても使用可能な「ターミット」も公開された。
 ◇2000キロ飛行
 ウクライナは停戦交渉をにらみ、今年1月中旬以降、ロシア領内の石油精製施設などへのドローン攻撃を強化した。軍のドローン運用部隊は1月末、「250キロの爆弾を搭載可能で、最大2000キロを飛行して帰還できるドローンを運用している。戦場での『ゲームチェンジャー』となる画期的開発だ」と発表した。戦略産業省のフボズジャル次官は時事通信の取材に対し、「戦争が起きていると知らしめるためにロシア領内の石油精製施設などの標的を攻撃することは重要だ」と訴えた。
 フボズジャル氏は「ドローン開発に関しては2~3カ月ごとに技術の変化が起きている」と語り、ロシアに対抗するために「新しい技術を生み出さなければならない」と常に競争を迫られていることを認めた。ウクライナ軍は東部の戦線にドローンを大量投入しているが、ロシア軍も対策を講じ、劣勢が続いている。
 欧州のシンクタンク「欧州外交評議会(ECFR)」のウルリケ・フランケ上級政策研究員は1月に発表した報告書で「防御策が講じられれば、きのうまで不可欠だったドローンもきょうには時代遅れになる可能性がある」として、ウクライナ軍が開戦初期に活用したトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」は既に陳腐化していると指摘。「安価で改良も容易なドローンは民間人が防衛活動に直接参加することを可能にした」として、戦争への民間人の関与拡大は慎重に対処すべき問題だと警鐘を鳴らした。 
[時事通信社]

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