ロシア、反体制派の弱体化進行=ナワリヌイ氏獄死、16日で1年
ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が極北の収監先で死亡してから16日で1年。批判を受けていたプーチン大統領は「事件」後の昨年3月の選挙で圧勝して通算5期目入り。同8月には米国などとの身柄交換で残る政治犯も事実上「国外追放」し、野党勢力の弱体化が進行している。
それでも在外の故ナワリヌイ氏支持者らは16日、ドイツ・ベルリンの教会で追悼集会を計画。妻ユリアさんは獄死について、プーチン氏が命令した「殺害」と一貫して主張している。
政権の弾圧は今も続いている。ナワリヌイ氏の元弁護士3人は、同氏が率いた「過激派組織」に参加したと決め付けられ、裁判所で1月中旬に禁錮3年6月~5年6月を言い渡された。
ウクライナ侵攻下の言論統制も相まって、かつてモスクワで吹き荒れた反政権デモはほぼ皆無に。毒殺未遂に遭ったナワリヌイ氏が療養先のベルリンから2021年1月、拘束を警告される中で帰国したのは、野党勢力の影響力低下を危惧してのことだった。その懸念は現実化している。
陣営が抱える問題もある。プーチン氏が国外追放した政敵の元石油王ミハイル・ホドルコフスキー氏派と本来なら「共闘」すべきだが、ナワリヌイ陣営が幹部襲撃事件に同派が関与したと疑ったことから、双方の間には隙間風が吹く。ロシア本国にも「醜聞」として伝わり、政権を利する結果となった。
西側諸国でナワリヌイ氏の後継者と目されたユリアさんのロシアでの人気もいまひとつだ。独立系世論調査機関レバダ・センターの昨年12月の発表によると、野党政治家としてユリアさんの名前を挙げた人は1%。74%が「ロシアに野党はない」などと答え、プーチン氏「1強」が著しい。
[時事通信社]
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