「NATO非加盟」ロシアに実利=ウクライナは頭越し警戒
ロシアのプーチン大統領は12日、トランプ米大統領とウクライナ侵攻の停戦について協議した。トランプ氏はこれに合わせ、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は非現実的との認識を記者団に表明。「非加盟」の保証は、隣国ウクライナを勢力圏にとどめるべく侵攻したロシアが掲げる主目標の一つで、プーチン政権は本格的な停戦交渉開始前から実利を手にしつつある。
「(バイデン前政権は)人類の生存を危うくする重大な過ちを犯した」。ロシアのメドベージェフ前大統領は13日、米国がウクライナ問題に介入した結果、世界は核戦争の瀬戸際に近づいたと主張。トランプ氏との対話は「非常に重要だ」と歓迎した。
一方、米ロ折衝の「事後報告」を受けるようにトランプ氏と電話会談したウクライナのゼレンスキー大統領は12日のビデオ演説で「米国はロシアに和平を強いると信じている」と強調した。同日は、東部ドンバス地方の紛争を巡って2015年2月にロシア側と停戦合意を結んでから丸10年の節目。さらなる合意ほごや侵攻がないよう「安全の保証」を受けるのがウクライナの第一目標だ。
米ロが頭越しに交渉を行い、ウクライナが蚊帳の外に置かれることに対する警戒感は根強い。ウメロフ国防相は、トランプ政権の立場に反論する形で、ウクライナのNATO加盟路線は「不変」だとくぎを刺した。
トランプ政権は、14年にロシアが併合した南部クリミア半島を含む領土の完全回復も疑問視しており、米ロ主導の交渉はウクライナに分が悪い。東部ドネツク州など前線の戦況もロシアに有利で、ウクライナは大幅な譲歩を迫られる可能性もある。
[時事通信社]
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