ガザで「活動できなくなる」=イスラエルのUNRWA禁止法施行―清田局長、パレスチナ支援に危機感
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動がイスラエル国内で禁じられるのを前に、UNRWAの清田明宏保健局長が「活動できなくなる可能性がある」と危機感をあらわにした。UNRWAに対する禁止法は30日に施行される。
東エルサレムで23日、時事通信のインタビューに答えた。イスラエル国会が昨年10月28日に可決した法律では、国内でのUNRWAの活動に加え、イスラエル当局とUNRWAの接触が禁じられている。清田氏によると、イスラエル占領下にある東エルサレムのUNRWA本部の国際職員は、イスラエルのビザ(査証)が発給されず、ヨルダンなどに移転。本部施設の事実上の閉鎖を余儀なくされる。
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区では現地職員が活動を継続する手はずを整えているが、医薬品の在庫は数カ月分。イスラエルが境界を管理しているため、「今後、医薬品の輸入が許可されないかもしれない」と懸念を示した。
清田氏は、自治区ガザについても、人や物資の出入りにはイスラエルの承認が必要で、制限される可能性があると指摘。停戦状態とはいえ、イスラエルと調整できなければガザでの活動に危険が伴う恐れがあるという。
イスラエルは、UNRWAの活動を別の国連機関などが代替できるとの立場だが、グテレス国連事務総長は「代わりはない」と断言している。清田氏によれば、保健分野だけでガザの職員は約1500人いるが、世界保健機関(WHO)は50人程度。一般外来や母子保健、生活習慣病などの1次医療サービスをUNRWAは戦時下でも1日約1万6000件提供し、「公的機関に近い存在だ」と強調した。現地職員を他の機関に再雇用させることも「現実的に難しい」と述べた。
イスラエルはもともと、同国領内への帰還を主張するパレスチナ難民の受け皿であるUNRWAを敵視してきたが、2023年10月にハマスによるイスラエル奇襲にUNRWA職員が関与したとして態度を一層硬化させた。国連は昨年8月、職員9人が「関与した可能性がある」とする調査結果をまとめた。清田氏は、処罰されるべきは人であり、「組織全体を罰する必要があるのか」と訴えている。
[時事通信社]
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