「トランプ復活」に期待と懸念=米社会の分断根深く
【ニューヨーク、ワシントン時事】トランプ米新大統領は20日の就任式で「米国を第一に考える」と宣言し、改革への決意を表明した。市民の間では、バイデン前政権からの転換を期待する声が上がる一方、トランプ氏が打ち出す政策への懸念も強い。4年ぶりに復活したトランプ氏を巡る米社会の分断は、いまだ根深い。
ニューヨーク市マンハッタンのトランプタワー近くで、就任式の中継を見ていた60代の会社経営の黒人男性はトランプ氏の支持者だ。「新政権下で規制が緩和され、経済が良くなってほしい」と期待を込める。会社員のエドワード・リューさん(37)は、トランプ氏が掲げる関税強化や減税で「米国のイノベーションや貿易が促進されることを望む」と話した。
南部バージニア州に住むベトナム移民の40代男性は「不法移民が米国に来るのを止め、正しい方法で来るようにしてほしい」と、トランプ氏の政策に共感。「不法移民を阻止すれば、麻薬などの脅威も減らせる」と訴えた。
ニューヨーク市の中学校教師クロリサ・マンドラーさん(53)は先週末、トランプ氏に抗議し、移民や女性、LGBTなど性的少数者の権利擁護を訴えるデモに参加した。「教え子には移民もいる。(トランプ氏が公約する強制送還で)彼らの家族が離ればなれになることを恐れている」と不安な表情を見せた。
首都ワシントンでは就任式当日の20日、数百人のデモ隊がホワイトハウスに向かって行進した。参加したビクター・ボーンさん(37)は、新政権を「富豪による独裁だ」と批判。高額な医療保険の改革など、労働者のための政策実現を訴えた。
ニューヨーク市の会社員のセルジオ・ディカバルカンテさん(35)は、トランプ氏の支持派と反対派が激しく反目する現状を心配している。自身は大統領選で民主党のハリス前副大統領に投票したが、「極端な右派か左派かで対立するのではなく、より中立的な視点を持つ必要があると思う」と語った。
[時事通信社]
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