トランプ氏に期待と不安=規制緩和歓迎、物価高警戒―米経済界
【ニューヨーク時事】米経済界では、企業寄りのトランプ大統領の就任に期待と不安が交錯している。金融大手ゴールドマン・サックスのソロモン最高経営責任者(CEO)は「企業のCEOの自信が大きく変化している」と評価。物価抑制と経済成長を両立する景気の軟着陸見通しが有力視される中、トランプ氏が掲げる規制緩和の推進が業績を押し上げるとの観測が広がる。
一方、同氏が重視する高関税政策や不法移民の強制送還には、インフレなど経済に悪影響を生じさせるとして、警戒感もくすぶっている。
バイデン前政権で厳しくなったM&A(合併・買収)審査がトランプ政権で緩む公算が大きく、助言業務を手掛ける金融大手にはプラスだ。ソロモンCEOは「全体的に顧客の取引意欲は高まっている」と強調。最大手JPモルガン・チェースのダイモンCEOは「企業は成長志向の政策に勇気づけられている」と分析した。
メタ(旧フェイスブック)など巨大IT企業の首脳らはトランプ氏と相次いで面会。過去に同氏と対立したことを念頭に置き、不利な扱いを受けないよう関係構築を急ぐ。
輸入品の関税引き上げは、小売業に打撃となりそうだ。米CNBCテレビの取材に応じた最大手ウォルマートの幹部は昨年11月、「価格を引き上げるケースが出てくる」と早くも警告。業界に値上げの波が押し寄せればインフレが再燃し、堅調な消費の失速は避けられそうにない。
米メディアによると、農業団体からは不法移民の強制送還の対象から農業従事者を除外するよう求める声が高まっている。収穫作業は不法移民に頼っているのが現状。トランプ氏が公約を実行することで農産物供給が滞り、価格高騰など混乱が広がれば、食卓にも影響が及びそうだ。
[時事通信社]
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