人質状況次第で戦闘再開=判断迫られるイスラエル首相
【エルサレム時事】イスラエルのネタニヤフ政権はパレスチナ自治区ガザでの停戦第1段階の19日発効を承認したものの、ガザからの人質解放が進まなければ戦闘を再開させる構えだ。しかし、停戦の第2段階に移行しなければガザに残された人質全員の帰還は望めない。ネタニヤフ首相は今後、厳しい判断を迫られる。
今回の停戦は、20日のトランプ次期大統領就任の直前のタイミングで、米側からの強い働き掛けを背景に実現した。報道によれば、ネタニヤフ氏は17日の治安閣議で「(トランプ氏は)合意違反があった際の戦争再開を支持する」と述べ、人質解放などの状況次第で停戦を中断することについて、米側の理解を得ていると訴えた。
ネタニヤフ氏が戦闘再開の可能性を強調するのには、イスラム組織ハマスとの合意を拒否し、戦闘継続を要求してきた閣内の極右勢力を納得させる狙いがあるとみられる。しかし、AFP通信によると、極右勢力の一翼を担う極右政党「ユダヤの力」は19日、連立離脱を発表。もう一つの極右政党「宗教シオニズム」も続けば、ネタニヤフ政権は少数与党に転落して存続の危機に直面する。
一方、国内では人質救出のための停戦を求める世論が高まっていた。イスラエルのメディアが報じた調査結果によると、国民の55%が停戦継続を望んでいる。
停戦の第1段階では、ハマスとの合意で人質33人が解放されることになっているが、その後もガザには60人以上の人質が残る。第2段階に進まなければ人命軽視という批判が強まりかねない。いずれにせよ、ネタニヤフ氏には「試練」が待ち受けている。
[時事通信社]
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