「森山1強」政権浮揚は見えず=党・国対掌握、非主流派に不満―自民
自民党の森山裕幹事長(79)が少数与党の党運営と国会対策を一手に引き受け、「森山1強」の様相を呈している。石破茂首相(党総裁)は24日召集の通常国会や夏の参院選に向け、「森山頼み」の苦境が続きそうだ。ただ、政権浮揚につながっているとは言えず、「独断」が目立つ場面もあり、非主流派からは不満も出ている。
「大事な通常国会がある。(2025年度)予算案成立を目指さなければならない」。森山氏は17日、首相と官邸で面会した後、通常国会に臨む決意を語った。野党の協力がなければ予算案や法案が1本も成立しない通常国会では、「影の国対委員長」と目される森山氏の手腕がさらに試されそうだ。
森山氏は安倍、菅両政権下の17~21年、国対委員長を歴代最長の4年余り務め、立憲民主党の安住淳・衆院予算委員長ら野党要人との太いパイプを誇る。現在の自民国対委員長である坂本哲志氏は旧森山派に所属した腹心。国会対策の経験に乏しい首相は「信頼できる人が幹事長というのはありがたい」と話している。
森山氏に権限が集中するのは、麻生派以外の5派閥が解散した影響も大きい。派閥は人事や選挙の公認で党内権力を分散・均衡させる機能も担ってきたためだ。
森山氏は昨年9月の総裁選直後、戦後最短日程での衆院解散・総選挙を首相に進言。派閥裏金事件の「政治的けじめ」として、「赤い羽根共同募金」への8億円寄付や、旧安倍派議員の政治倫理審査会での弁明などを主導した。自身は周辺に「ややこしいことは自分がやる」と語る。
ただ、大きな成果を挙げているとは言い難い。衆院選では自ら決めたとされる裏金関係候補への2000万円支給が逆風を招き、与党は大敗。落選者から「2000万円問題がなければ自民はもっと議席を維持できた」(下村博文元政調会長)などと恨みを買った。年が明けても報道各社の世論調査で石破内閣と自民の支持率は低迷したままだ。
非主流派からは、裏金問題の収束が見えないことへの不満が噴き出る。高市早苗前経済安全保障担当相はX(旧ツイッター)で、8億円寄付について「納得感はない」と批判。旧安倍派の関係者は「問題を終わらせるつもりがあるのか。区切りをつけないと参院選までずるずるいく」と怒気を込めた。
[時事通信社]
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