命の大切さ、伝え続ける=震災後生まれ、兄が犠牲に―小学校教諭の高光愛恵さん・阪神大震災30年
阪神大震災で当時2歳の兄が犠牲になった兵庫県芦屋市立岩園小学校の高光愛恵教諭(29)は、児童らに命の大切さを伝え続けている。震災後生まれで被災経験はないが、30年の節目となった17日も「(地震で)救えなかった命があったことを知ってほしい」と授業で語り掛けた。
兄の大地ちゃんは震災当日、がれきの下敷きになり亡くなった。高光さんはそれから約1年後に誕生。自宅にはいつも兄の写真があり、就寝前は家族が「だいくん、お休み」と声を掛けていた。兄の誕生日にはみんなでケーキを食べ、お祝いした。
教員になって初めて震災の日を迎えた2019年1月、勤務していた神戸市内の小学校で、「地震で亡くなった人の中に兄がいる」と児童に明かした。「生きたくても生きられなかった人がいる」。そのことを知っているからこそ、「毎日を大切に生きて、隣の人を大事にしてほしい。一人ひとりの命が大切」と自らの言葉で語り続ける。
東日本大震災の研修に参加した同年夏、被災した現地の教員から「(東日本大震災を)経験していなくても、ここで聞いたことを話してほしい」と言われ、被災経験がなくてもいいんだと勇気づけられた。今は同じように被災経験のない後輩教員にも、誰かの被災経験に自分なりの考えを加えて児童に伝えてほしいと考えている。
子供たちに語る日、兄には「頑張って話してくるわ。見守っててな」と心の中で声を掛ける。兄は2年しか生きていない。会ったこともない。でも「私が話すことで兄の存在を、命の大切さを伝えられれば、2歳で亡くなったことは無駄にならない」との思いがある。
「震災で亡くなった6434人はただの数字ではない。それぞれ遺族がいる」と命の重みをかみしめる。17日は「(きょう)自分で感じたことを誰かに伝えてもらえれば未来につながる」と5年生の児童に呼び掛けた。なぜ震災を語り継ぐのか、これからも子供たちと一緒に考えていくつもりだ。
[時事通信社]
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