トランプ外交に「追い風」=危機収束へ指導力不可欠―ガザ停戦合意
【ワシントン時事】パレスチナ自治区ガザの停戦合意は、20日に発足するトランプ次期米政権が取り組む中東外交への「追い風」となりそうだ。本格的な危機収束には米国の指導力が不可欠で、トランプ次期大統領の外交手腕が問われる。
「この壮大な停戦合意は、(2024年)11月の歴史的勝利の結果としてのみ実現し得た」。トランプ氏は15日、同月の大統領選で自らが勝ったことが合意に至った最大の要因だと主張し、「手柄」をアピールした。
トランプ氏は選挙後、「ゴルフ仲間」である実業家ウィトコフ氏を中東問題担当特使に起用すると発表。イスラエルに派遣してネタニヤフ首相と会談させるなど、停戦交渉に積極的に関与させた。24年12月には、自身の大統領就任までに人質を解放しなければ「代償を払わせる」とイスラム組織ハマスに警告。圧力をかけ続けた。
一方、バイデン大統領も威信を維持するため、退任前に戦闘終結を実現する必要があった。トランプ、バイデン両氏の思惑が重なる中、現・次期政権高官が協力する形でバイデン政権の停戦案を土台に交渉に臨み、停戦合意を導き出した。
バイデン氏は15日、ホワイトハウスで停戦を発表した際、「非常に満足している」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、「過去数日間、一つのチームとして話し合ってきた」と次期政権との連携に触れた。一方で、誰の実績かと記者から問われ「その質問は冗談か?」と切り返し、トランプ氏の役割に過度に焦点が当たることへのいら立ちものぞかせた。
合意を着実に履行し、恒久停戦につなげる役割は次期政権に託される。トランプ氏がさらにその先に見据えるのは、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化と中東全域の緊張緩和という「外交レガシー(政治的遺産)」づくりだ。
ただ、サウジが正常化の条件に掲げる「パレスチナ国家の樹立」にネタニヤフ氏は消極的だ。停戦交渉に奔走したブリンケン米国務長官は14日、シンクタンクの会合で「地域の指導者は自身の利益より国民の利益を常に優先していると言いたいところだが、そうではなかった」と振り返り、中東外交の難しさを指摘した。
[時事通信社]
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