あの日から30年、祈りの朝=教訓継承へ、誓い新た―各地で追悼・阪神大震災
死者6434人、負傷者4万3792人を出した阪神大震災は17日、発生から30年の節目を迎えた。震災後生まれの人が増え、記憶の風化が進む中、能登半島地震など各地で災害は頻発している。遺族らは震災の教訓を次世代につなげる決意を新たにし、犠牲者の冥福を祈った。
神戸市中央区の公園「東遊園地」では市民団体などが追悼の集いを開催。午前7時までに約1万1000人が訪れた。「よりそう 1.17」の文字をかたどった竹と紙の灯籠に火をともし、発生時刻の午前5時46分に黙とうをささげた。被災地や被災者を忘れず、寄り添い続けるという思いを込めた。午後には東日本大震災と能登半島地震の発生時刻に合わせて黙とうする。
集いには、震災で母と弟を失った長谷川元気さん(38)=神戸市垂水区=が遺族代表として出席。「より多くの方々に防災・減災のスタートラインに立ってもらえるよう、震災から得た教訓を語り継いでいく」と述べ、語り部としてこれからも経験を伝えていくことを誓った。
兵庫県なども正午前から県公館で「阪神・淡路大震災30年追悼式典」を開いた。斎藤元彦知事は「誰もが安心して暮らすことができる社会の実現に、県民一丸で取り組んでいく」とあいさつ。父を亡くした武田真理さん(66)=同県西宮市=は「(震災経験を経て)いつもと同じ朝を迎えられる喜びを知った。後世の人たちに悲しい記憶ではあるが、命の大切さを伝えていきたい」と語った。
式典には天皇、皇后両陛下も出席。天皇陛下はあいさつで、犠牲者に哀悼の意を表し、復興に尽力した団体などに感謝を示された。その上で「これからも、震災の経験と教訓を基に、安全で安心して暮らせる地域づくりが進められるとともに、得られた知見が国の内外に広がり、次の世代へと引き継がれていくことを期待いたします」と述べた。
[時事通信社]
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