韓国政局・識者談話
◇保守層の結束を促進
木村幹・神戸大大学院教授(朝鮮半島地域研究)の話 尹錫悦大統領への拘束令状の再執行がこのタイミングになった理由は、大統領警護庁の朴鍾俊前長官が警察に出頭して辞職したり、警察側に内部の機密事項を流出させたとして警護庁幹部が待機を命じられたりするなど、同庁の内部分裂が露呈したためだろう。
内乱容疑という重大性もあるが、尹氏は合同捜査本部の3度にわたる出頭要請に応じておらず、身柄拘束は極めてまっとうな措置だ。捜査機関が48時間以内に逮捕状を請求するとみられるが、非常戒厳に関して、尹氏が証拠を隠滅した痕跡があれば、逮捕状は発付されるだろう。
韓国の1月の世論調査では、非常戒厳宣言後に落ち込んでいた保守系与党「国民の力」の支持率が回復し、野党と僅差となっている。拘束前に談話を述べる尹氏の様子は非常に落ち着いており、自信を取り戻したことをうかがわせる。「今後の法廷で闘いを続ける」姿勢を印象付けた形だ。
こうした動きは、保守層の結束につながるとみられる。ただ、中間層からの支持は期待できず、最大野党「共に民主党」を逆転することにはならないだろう。
韓国政治は「運転手」のいない不安定な状況が続き、日本にとっても外交の幅が限定される状況だ。
[時事通信社]
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