日銀、春闘の勢いに手応え=利上げ判断へ、米新政権「初動」確認
日銀が、追加利上げの判断で重視する賃上げの勢いに手応えをつかんでいる。人手不足が深刻化する中、今月本格化する2025年春闘では、堅調な企業業績を背景に前年に続いて高水準の賃上げが実現する可能性が高いと判断。高関税政策を掲げるトランプ次期米政権の「初動」で内外の経済・金融市場が大きく混乱しなければ、日銀は23、24両日の金融政策決定会合で利上げに踏み切る可能性がある。
賃金と物価がともに上がる「好循環」の強まりを確認する上で、日銀は春闘に向けた「モメンタム(勢い)」(植田和男総裁)を点検したい考え。大企業の集中回答日は3月中旬だが、賃上げ機運の高まりを確認できれば集計結果を待たず利上げを判断できるとする。氷見野良三副総裁は14日の講演で「24年度に続いて強い結果を期待できる」と強調した。
年明けには大企業経営者から「昨年並みの賃上げ(6%)を最低限目指す」(アサヒグループホールディングスの小路明善会長)などと積極的な声が相次いだ。地方や中小企業への広がりについても、9日の日銀支店長会議で多くの支店から「継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種・規模の企業に浸透してきている」との報告が上がった。
今後の大きなチェックポイントは、20日に米大統領に就くトランプ氏の経済政策の行方だ。すでに同氏は中国製品に10%の追加関税を課し、カナダとメキシコの製品には25%の関税を適用すると表明。米メディアによると約100本の大統領令を用意しているとされる。氷見野氏は講演後の記者会見で「就任演説で(トランプ氏が政策を)どのようなバランスとスケジュールで進めていくのかをよく見ていく」と説明した。
[時事通信社]
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