トランプ氏再登板で正念場=存在意義問われるWTO―発足30年
【ロンドン時事】世界貿易機関(WTO)が1995年の発足から30年を迎えた。保護主義が第2次世界大戦の一因になったとの反省から自由貿易体制の普及を促進してきたが、近年は米中貿易戦争をきっかけに機能不全が深刻化。改革が喫緊の課題となる中、「米国第一」を掲げるトランプ次期米大統領の再登板でWTOへの逆風が再び強まるのは必至だ。自由貿易の旗振り役として存在意義を示せるか正念場に立たされている。
WTOは関税貿易一般協定(GATT)が前身。市場開放を進め、国際ルールに基づく貿易体制を築いて世界経済の発展を目指す目的で設立された。加盟国間の通商問題をルールに基づいて解決する紛争解決制度を持つのが特徴だ。
2023年の世界貿易額(モノ輸出額)は23兆8100億ドル(約3760兆円)と、30年で約4.6倍に増えた。しかし、第1次トランプ政権時にWTOは著しい機能不全に陥った。トランプ氏は17年以降、巨額の対中貿易赤字を問題視し、制裁関税を次々と発動。米中対立が激化し、全会一致による意思決定を原則とするWTOが空転した。
WTOの機能不全が長期化したことで、一部の加盟国が特定の貿易分野でルールを決める流れが加速した。紛争解決制度のまひや経済安全保障を理由に貿易保護主義を打ち出す国の拡大で、WTOの貿易ルールは形骸化が指摘されている。
24年の20カ国・地域(G20)首脳会議では、「WTOを中心にルールに基づいた公正で開かれた多国間貿易体制を確保する」との方針を確認した。だが、明確に保護主義に反対する姿勢は示せなかった。
トランプ政権の発足で自国優先の風潮が再び世界を覆うことが懸念される中、WTOの改革を前進させるのは容易ではない。オコンジョイウェアラ事務局長は「世界貿易に悪影響を及ぼすような通商紛争が起きないようにしたい」と述べ、高関税などを掲げるトランプ氏の政策を警戒している。
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