「日本らしさ」の本物志向を徹底=「SHOGUN」時代考証の歴史家―米Gグローブ賞
米ゴールデン・グローブ賞で4冠に輝いた「SHOGUN 将軍」。主演の真田広之さんをはじめ、製作陣が「オーセンティックな(本物の)時代劇」を志向した作品が、米国を代表する賞で高く評価された。
時代考証を担ったフレデリック・クレインス国際日本文化研究センター教授は「戦国時代の日本を忠実に描くための提案をし、撮影現場では日本の時代劇スタッフが奮闘した。その視点を米国の製作陣が受け入れ、生かした結果だ」と話す。
日本人が参加する前の段階の脚本を読み、「あり得ない点を大量に指摘した」。統括プロデューサーのジャスティン・マークスさんに請われ、脚本作りにも参加。外国から見た「不思議な国ニッポン」的視点を排し、当時の武士文化に沿ったエピソードを提案。ストーリーに取り入れられた。
当時の建築や美術などの参考史料を提供したが、再現されたセットには「何かが欠けていた」という。だが、真田さんと時代劇チームが準備に加わって以降は「(オンラインで行ったやりとりの)理解度が違った。(セットも)びっくりするほど『日本らしく』なった」。
一方、戦国時代の風俗や言い回しは、時代劇で見慣れた江戸時代と異なるため、どこまで忠実に描くかは課題だった。「例えば刀の差し方、座り方も、ありのままに描くと、日本らしく見えないところがある」。その案配も真田さんが調整し、「最高のパフォーマンスをしてくれた」と話す。
SHOGUNが注目を集める今、国内でも時代劇映画が話題に。自主製作ながら異例の人気を呼んでいる「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督は、SHOGUNについて「(せりふの多くを)日本語でやっているのがまずすごい。真田広之さんが20年間やってきて、あそこまでたどり着いたのはリスペクトなしに見られない」と語る。
自作では固定カメラを用い、刀の重さを感じさせる立ち回りにこだわった。「伝統的な時代劇を残していかなければという思いは一緒です」。
[時事通信社]
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