シリア暫定政府と接触開始=積極関与、大使館再開も視野―欧州
【ベルリン時事】シリアのアサド独裁政権を打倒した旧反体制派に、欧州諸国が相次いで接触を開始している。英仏独が今週、それぞれ外交団を派遣し、暫定政府を主導する「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)の指導者ジャウラニ氏らと会談。シリアの国家再建に積極関与する構えを示した。
2011年の中東の民主化運動「アラブの春」が波及しシリアが内戦状態に陥った後、欧州には大量の難民が流入。欧州諸国には暫定政府との関係構築を通じ、アサド前政権の後ろ盾だったロシアやイランの干渉を防ぎつつ、難民の早期帰還につなげたい思惑がある。内戦の影響で閉鎖してきた大使館の再開も視野に入れている。
英国の外交団は16日、ダマスカスでジャウラニ氏と会談した。最新の現地情勢や統治方針について意見を交わしたとみられる。これに先立ち、ラミー英外相は「シリアの統治がより良くなるよう、外交的に取り組む」と強調した。
ロイター通信によると、17日には在ダマスカスのフランス大使館に仏国旗が掲揚された。12年以来閉鎖していた大使館の「再開に備えるため」(仏外務省)外交団が訪問した。暫定政府に対し、女性や宗教・民族的少数派の権利擁護のほか、前政権時代に備蓄された化学兵器の拡散防止を要求したという。
ドイツ外交団も17日、ジャウラニ氏らと会談し、人権擁護などでの協力を申し出た。独国内ではシリア難民の早期帰還を求める声が出ているが、外務省報道官は18日の定例会見で「ステップ1の前にステップ5はできない」と述べ、まずは情勢把握に努める方針を表明した。
欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)は、17日の欧州議会で、代表団のシリア派遣を指示したと説明。大使館に相当するEU代表部について「再開する準備ができている」と前向きな姿勢を示した。
[時事通信社]
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