自衛官の給与体系見直し=キャリア支援、定年引き上げ―処遇改善で政府基本方針
政府は20日、自衛官の処遇改善に関する関係閣僚会議を首相官邸で開き、給与体系の見直しやキャリア支援の強化、定年引き上げの検討などを柱とする基本方針をまとめた。日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、定員割れが続く自衛官の確保につなげるのが狙い。関連経費を2025年度予算案に計上する。
自衛官の処遇改善は、石破茂首相の看板政策の一つ。基本方針には「防衛力の抜本的強化を真に実現するには、優れた自衛官を安定的に確保し続ける必要がある」と記し、首相は会議で「極めて深刻な課題だ」と訴えた。
給与面では、警察官らに適用される「公安職俸給表」をベースとした現行の体系について、28年度の改定を目指すと明記。制約や負担を伴う勤務環境に見合った水準に引き上げる。
航空管制やサイバー対応など特殊な任務に就く隊員への手当を新設。これを含め、25年度予算案で計31の手当を新設・積み増しする。また、基地や駐屯地に居住する一般曹候補生らを対象に、採用後6年間で最大120万円の「指定場所生活調整金」(仮称)を支給する。
退官後のキャリア支援も強化する。自衛隊で得た知識やスキルを生かした再就職ができるよう、関係省庁と連携して業界団体に要請。海技士や航空整備士など公的資格の取得プロセスの簡素化にも取り組む。
多くの自衛官は、一般公務員より早い56歳で定年を迎える。28年度以降にこれを2歳程度引き上げることを検討する。
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