欠員裁判官の任命で与野党攻防=大統領弾劾審判巡り―韓国
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の弾劾裁判を担う憲法裁判所裁判官の任命を巡り、与野党が攻防を繰り広げている。現状の裁判官6人体制では罷免の決定に全員の賛成が必要。革新系最大野党「共に民主党」は新たな裁判官3人の任命を急ぐ一方、保守系与党「国民の力」は尹氏罷免の可能性を高める事態を避けようと、けん制を強めている。
憲法裁は裁判官9人のうち6人の一致で決定を下す。現在は欠員が出て6人のため、1人でも反対すれば罷免されない。憲法裁は6人でも審理可能との立場だが、裁判官全員の意見が一致するまで決定しない可能性も指摘されている。
欠員の3人は国会の指名に基づき大統領が任命する枠。10月から3人欠員状態が続いており、既に与党が1人、野党が2人の候補者を推薦している。共に民主党は、国会の人事聴聞会や本会議での議決を年内に済ませ、大統領職を代行する韓悳洙首相が早期に任命するシナリオを描く。
だが、現在与党トップの権性東院内代表は17日、「(韓首相は)弾劾審判の判断が決まる前には裁判官を任命できない」と主張。これに対し、共に民主党の朴賛大院内代表は、「言葉遊びにすぎない」と反発し、「6人体制ではなく9人体制で(裁判を)進めることが望ましい」と強調した。
韓国メディアによると、共に民主党が23、24両日に開催を提案した人事聴聞会に与党は出席しない方針を決定。ただ、国会で多数を占める共に民主党だけでも任命同意案を可決させることは可能。与野党のせめぎ合いが激しくなる中、韓首相は難しい判断を迫られそうだ。
[時事通信社]
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