ドラ1投手、肘の手術相次ぐ=背景に硬いマウンド、コロナ禍?―プロ野球2024
プロ野球で今季、ドラフト1位の新人投手が相次いで肘の内側側副靱帯(じんたい)再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受ける異例の事態があった。中日の草加勝と阪神の下村海翔が春までに、ヤクルトの西舘昂汰は9月にメスを入れた。
いずれも大学出で即戦力と言われたが、1軍登板を果たせなかった。草加は「入団してすぐに手術となり申し訳ない。来年以降はけがをしない体をつくりつつ、勝つために腕を振りたい」と誓う。
3人も手術を受けた理由として複数球団のスカウトが指摘するのは、2021年に神宮球場のマウンドが硬くなったこと。草加は亜大、下村は青学大出身。同球場で行われる東都大学1部リーグで活躍した。同2部の専大を出た西舘も、神宮での1、2部入れ替え戦で連投した経験がある。
中日の松永幸男スカウト部長は「硬いマウンドは反動で腕の振りが速くなり、その分負担がかかる」と指摘。現状は指名後に身体検査を行うしかなく「(けがを)見極めようがない」とも話す。
中日の音重鎮チーフスカウトはコロナ禍が背景にあると分析。3投手が大学に進んだ20年に感染が拡大して以降、試合や練習ができない時期があった。音スカウトは「彼らに近い世代はしっかりと大学で4年間トレーニングができず、体力的に不安がある」と語る。
中日は今秋のドラフトで金丸夢斗(関大)、吉田聖弥(西濃運輸)両投手を上位で指名した。甲子園大会がコロナ禍で中止となった20年はともに高校3年生。即戦力と言われるが、音スカウトは「いきなり10勝とかは考えていない。体を鍛えて、2年目から期待したい」と冷静に言った。
[時事通信社]
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