25年春闘「大幅賃上げ」要請=首相、最低賃金で来春対応策―地方・中小への波及焦点・政労使会議
政府は26日、物価上昇を上回る賃金引き上げの実現に向けて、関係閣僚や労働界、経済界の代表が参加する「政労使会議」を首相官邸で開いた。石破茂首相は会議で、2025年春闘について「今年の勢いでの大幅な賃上げ」に協力を要請。「賃上げの流れは、雇用の7割を占める中小企業、地方で働く人々にも行き渡ることが重要だ」と述べ、賃上げの波及に全力を挙げる姿勢を示した。
石破政権下で政労使会議の開催は初めて。会議で首相は、最低賃金を20年代に時給1500円に引き上げる目標に関し、赤沢亮正経済再生担当相ら関係閣僚に実現に向けた対応策を来春までに取りまとめるよう指示した。また、賃上げ機運を全国的に高めるため、各都道府県で「地方版政労使会議」を来年1~2月を中心に開く。
25年春闘を巡り、連合は約30年ぶりの高水準を達成した24年春闘並みの「5%以上」の賃上げを要求する方針だ。会議終了後、連合の芳野友子会長は「政労使で心合わせができるのは非常にありがたい」と記者団に語った。
一方、首相が掲げる最低賃金引き上げ目標に対しては、経済界から相次いで慎重な姿勢が示された。日本商工会議所の小林健会頭は会議で、引き上げの「スピード」と「金額」についての懸念を表明した。終了後、記者団に対し、消費者に商品やサービスを直接提供する小売業などでは賃上げの原資を確保するための適切な価格転嫁が「道半ばだ」と指摘。「消費者のデフレマインドの払拭が大きな課題だ」と述べた。
経団連の十倉雅和会長も「(法的義務のある最低賃金は)赤字企業も中小企業も漏れなく適用されるし、罰則もある。労使協議を経て決める春闘とは(性質や影響が)全く異なる」として、政府主導の拙速な引き上げに警戒感を示した。
[時事通信社]
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