与野党、SNS活用・規制の両面検討=名古屋市長選でも影響力
24日投開票の名古屋市長選でもSNSで拡散した情報が有権者の投票行動に大きな影響を与えたとみられることから、与野党はその活用と規制の両面の検討に本腰を入れる方針だ。関心に応じた情報提供で無党派層の掘り起こしにつながるとの期待がある半面、中傷などに対する規制強化論も浮上する。来年には参院選や東京都議選といった大型選挙も控え、各党で議論が加速する可能性がある。
「明らかにSNS利用が一般生活に広まってきている。政策や政治姿勢を伝える手段として積極的に活用すべきだ」。自民党の福田達夫幹事長代行は25日の記者会見でこう述べ、SNSでの発信拡大に取り組む考えを示した。
17日投開票の兵庫県知事選では、斎藤元彦氏がSNSでの支持を追い風に再選。これに続く名古屋市長選でも広沢一郎氏の陣営がSNSを活用し、自民、立憲民主など与野党4党の推薦を受けた元参院議員の大塚耕平氏を大差で下した。
両選挙の結果について、自民の閣僚経験者は個別の事情があるとしつつも「SNSの影響は顕著だ」と認めた。立民関係者は、今後の各種選挙で「SNS利用者に訴えを届けたい」と話した。
一方、兵庫県知事選ではSNS上で根拠のないデマ情報や中傷が飛び交ったことが問題となった。公明党の西田実仁幹事長は25日の政府・与党連絡会議で、「選挙を巡るインターネット上の偽、誤情報の悪影響が話題となっている。深く議論する必要がある」と指摘。この後、同党の斉藤鉄夫代表は記者団に「既成政党への不信もあると思う。詳しく分析する必要がある」と話した。
自民幹部や立民ベテランらからは、偽情報や中傷に対する規制の検討は「避けられない」との声が相次ぐ。ただ実際の規制対象や膨大なネット空間上での実効性など、課題は多い。日本維新の会の関係者は「選挙妨害とはっきり認められるなら別だが、言論への対応は簡単ではない」と語った。
政府は当面、与野党の動向を見極める考えだ。林芳正官房長官は25日の記者会見で「表現の自由」は民主主義の根幹だと指摘した上で、「選挙では有権者に多様な情報から自らの意思で判断してもらうことが重要だ」と述べた。
[時事通信社]
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