気候対策、トランプ氏復権で動揺=協調姿勢が焦点―G20サミット
【リオデジャネイロ時事】18日からの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、先進国と新興国が協調姿勢を示し、気候変動対策の推進に向けたメッセージを打ち出せるかも焦点となる。気候変動対策の撤回を掲げるトランプ次期米大統領の就任を控えて動揺が広がる中、先進国と新興・途上国の間では対立が生じつつある。G20でも足並みの乱れが鮮明になれば、気候変動問題への取り組みは世界的に後退しかねない。
議長国ブラジルは、気候変動問題を優先課題の一つに掲げ、2日目の討議テーマに据えた。ルラ大統領は17日の関連会合で「気候変動の結果、海面上昇や熱波、洪水の危険にさらされている」と強調した。先進国から新興・途上国支援の継続を引き出し、協調姿勢をアピールしたい考えだ。
ただ、アゼルバイジャンで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)では、2025年以降の先進国による温暖化対策支援を巡る交渉が難航。先進国と新興・途上国の立場の隔たりが大きくなっている。
米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏と親しく、気候変動問題に懐疑的なアルゼンチンのミレイ大統領は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を検討。同国政府は、COP29に出席中の代表団の引き揚げを命じたといい、新興国の間でも温度差がある。
トランプ氏はパリ協定からの再離脱を明言している。1期目に離脱した際には、後に続く国はなかったが、アルゼンチンが追随すれば、枠組み全体が揺らぐ可能性がある。
気候変動対策を進めたバイデン米大統領は17日、G20サミットに先立ち、ブラジル北西部マナウスを訪問し、熱帯雨林を視察した。「国内外でできること、やるべきことがたくさんある」と温暖化対策の必要性を力説。任期中に気候変動対策の「強固な基盤」を残せたとしつつも、それをどうするかは「後任」次第だと話した。
[時事通信社]
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