桑井審判員が切り開く道=女性初の主審に誇り―ラグビー・リーグワン
新しい景色の連続に心が躍る。ラグビーのリーグワンで、桑井亜乃審判員(35)が女性初の主審としてデビューした。「歴史的な道を切り開けるようにやってきた。挑戦を忘れずに続けていきたい」とうなずく。
栃木・足利ガスグラウンドで行われた22日の3部開幕節、狭山―昭島戦。初めての大役に「わくわく、どきどきで緊張した」と言うが、試合直前に自ら「行くぞ」と気合。迷いのない判定で信頼を勝ち取り、選手との会話も欠かさなかった。
審判に転向して3年。今夏のパリ五輪で、選手として五輪出場経験を持つラグビー界最初の審判となった。6万6000人の大観衆が醸し出す興奮と緊張感。「あの感覚はもう味わえないかも」とこぼす一方、「それ以上の感動を見つけたい」という欲求がある。
ラグビーを楽しむことに性の隔てはない。よく使う「男女関係なく」との言葉からも、その思いがにじむ。女性が男子の試合で笛を吹く光景も同じ。「最初は怖く感じても、無理だと思ってほしくない。誰かがつくるべき道に、一歩踏み出せたのはうれしい」と言う。
節制と努力が続いた分、今はご褒美にとんかつを食べたいと笑う。実直に「2部、1部と上位カテゴリーに挑戦していきたい」と話すのは、「例えば出産する、男子の最高峰を目指すと言っちゃうと、それを避けられなくなる」との思いがあるから。胸に刻む哲学は「強く美しく」。どの道に進んでも、その足取りは変わらない。
[時事通信社]
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