いぶし銀の味、存分に=宝富士、休まずこつこつ―大相撲九州場所
37歳のベテランが元気だ。宝富士は得意の左を差せず、阿武剋に右差しを許す。間髪を入れず左からいなすと、難なくはたきを決めた。「内容は全然」と言いつつ、「体に染み付いた動き」。いぶし銀の相撲だった。
トップに並んでいた入幕2場所目の新鋭に立ちはだかり、健在ぶりを示した。2連敗発進から2019年秋場所以来となる7連勝とし、「出来過ぎ」と目を丸くする。「疲れが抜けない」との言葉とは裏腹に、笑顔に充実感がにじむ。
先場所を最後に同学年でいずれも元関脇の妙義龍(現振分親方)や碧山(現岩友親方)が引退。多くの関取を輩出した同世代が次々と去り、「同い年の関取は自分しかいない。若い子ばかりで、やっぱり寂しい」。孤独感も抱きながら土俵を務めている。
この日で通算連続出場が歴代単独9位の1317回に。記録への執着はないものの、「その日の相撲に懸ける。それしかできない」と自身に言い聞かせ、こつこつと積み重ねてきた。「何でも一生懸命やることで成果が出ればいい」。いまだ情熱が衰えることはない。
[時事通信社]
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