ヤマハ発動機、インドのZ世代取り込み=スポーツバイク、都市部の若者に
世界最大の二輪車市場のインドで、ヤマハ発動機は1990年代半ば以降生まれの「Z世代」に照準を定め、スポーツバイクの販売を拡大させている。14億人超が暮らす同国でのバイク需要は旺盛で、安価な製品に強みを持つ現地メーカーのシェアが高い。ヤマハ発は、デザイン性に優れたスポーツバイクを主軸とする戦略で差別化を図り、若者需要を開拓している。
インド国内のZ世代に向け、スポーティーな外観に加え、ホイールに色を付けるなど工夫を凝らした総排気量150cc以上のバイクを売り込む。価格は1台当たり10万ルピー(約18万円)以上。インドで普及する6万~9万ルピー(約10万~16万円)のバイクより高価だが、都市部で増加している、所得水準の「上位中間層」を主要顧客とする。
10月に取材に応じたヤマハ・モーター・インディア・グループの知花栄進会長は「18~25歳の若者が憧れる二輪車を売る」と強調。ヤマハ発のスポーツバイクは80~90年代に「大変なブームだった」といい、今でもそのイメージが根付いているという。実際にヤマハ発のスポーツバイクに乗るスカンダ・ジェイさん(22)は「ヤマハのバイクに乗るのが夢だった。品質に見合った価格だ」と語る。
二輪車総需要が年間1700万台を超えるインドでは、生活の足になる125cc以下の安価なバイクが人気。「ヒーロー」や「TVS」などの地場ブランドが5割以上のシェアを握るが、日系ではホンダが存在感を発揮している。とりわけ2001年に発売した「Activa(アクティバ)」は、手ごろな価格設定や燃費性能、走りやすさを武器に年間販売台数100万台超の定番スクーターとなっている。
ヤマハ発も17年までは地方都市のファミリー層に売り込んでいたが、地場大手の販売網などに阻まれ、「うまくいかなかった」(知花氏)。18年に都市部の若者にアピールして、差別化を図る戦略に転換した。
ヤマハ発のインド国内でのシェアは4%程度ながら、戦略転換後には販売単価が上昇し、23年の営業利益は17年比で20倍以上に増加。販売店もヤマハ発のレーシングチームのイメージカラーである青色を基調とした新店舗に刷新。現在の400店から27年までに900店に増やす予定だ。
[時事通信社]
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