揺れる国際秩序、協調模索=APEC、G20サミット開催へ
日米中など先進国、新興国が南米にそろい踏みし、15、16両日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、18、19両日に20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれる。米大統領選は自国優先主義を掲げる共和党のトランプ前大統領が勝利。ウクライナや中東情勢に解決の兆しが見えない中、国際秩序はさらなる動揺が懸念される。世界経済と国際情勢の安定に向けて各国が一致点を見いだせるかが問われる。
APEC首脳会議はペルーの首都リマで、G20サミットはブラジルのリオデジャネイロで開かれる。日本は石破茂首相が出席、バイデン米大統領や中国の習近平国家主席も参加する。期間中、各国首脳は2国間会談も行い、来年1月のトランプ政権誕生をにらんだ国際秩序の在り方を探る。
21カ国・地域が参加するAPEC首脳会議は、域内での自由で開かれた貿易・投資の推進や持続的成長の確保などが主要議題となる。トランプ氏は中国に対し60%の関税を課すと宣言しており、米中対立の激化は必至。こうした状況で世界貿易機関(WTO)をはじめとした多角的貿易体制下でのルール形成を前進させられるかが焦点だ。
G20サミットは、議長国のブラジルがグローバルサウス(新興・途上国)の声を代弁し、気候変動への対応や国際開発金融機関(MDBs)改革を提唱。APECやG20には、ロシアを含め拡大を目指す新興国グループ「BRICS」の加盟国も多数参加しており、世界経済の危機回避へ先進国と新興国間で協調体制を築けるかも課題だ。
国際通貨基金(IMF)は10月下旬に発表した最新の世界経済見通しで、2024、25年とも世界全体の成長率は3.2%と堅調さを維持すると分析。一方で地政学的リスクの増大や保護主義の高まりで「下振れリスクは増大している」と指摘した。大国による貿易戦争が拡大する中、世界経済は持続的成長を維持できるか岐路に立たされている。
[時事通信社]
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