北朝鮮、米大統領選前に技術進展誇示=トランプ氏返り咲き見据え
【ソウル時事】北朝鮮は31日、新型とされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、11月5日に大統領選を控える米国に核・ミサイル技術を誇示した。北朝鮮の非核化を目指すバイデン政権が日韓と連携して圧力を強化する中でも、核戦力開発が進展したことを証明し、次期米政権に政策変更を迫る狙いがありそうだ。
専門家によると、金正恩朝鮮労働党総書記は共和党のトランプ前大統領の返り咲きを視野に入れている。トランプ氏は大統領在任中の2018~19年、正恩氏と3回首脳会談を行った。北朝鮮に核実験とICBM発射を一時凍結させたと実績を訴え、再び大統領に就けば正恩氏と「仲良くやる」と語っている。
韓国の梁茂進・北韓大学院大総長は「米大統領選の最終盤に存在感を誇示するとともに、トランプ氏が当選した場合の核軍縮交渉を念頭に交渉力を高める意図がある」と北朝鮮の思惑を分析。トランプ氏に北朝鮮を核保有国と認めさせた上で対米交渉に入る戦略で、その際に取引材料となる核・ICBMの開発を着々と進めていると読み解く。
ただ、北朝鮮は今年5月、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗した。25年を最終年とする「国防力発展の5カ年計画」にはICBMや偵察衛星の開発が明記されており、正恩氏は今年中に衛星3基を打ち上げる目標を掲げていた。今回のICBM発射の背景には、「軍事開発の実績」を内部向けに示す必要に迫られていたという事情もありそうだ。
一方、米韓はウクライナ侵略を支援するため兵士を派遣するなど、ロシアとの接近を図る北朝鮮の動きに神経をとがらせている。ICBM発射直前の30日には、オースティン米国防長官と韓国の金龍顕国防相が会談し、派兵に「深い懸念」を表明した。韓国軍は、反発する北朝鮮が今後、衛星打ち上げや核実験に踏み切る可能性もあるとみて、警戒を強めている。
[時事通信社]
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