先達に並び「僕でいいのかな」=文化功労者の吉田和生さん
文化功労者に選ばれた人形浄瑠璃文楽の人形遣い、吉田和生さん(77)。伝統工芸の道を模索し、かしら(文楽人形の頭)の工房を訪ねたことをきっかけに吉田文雀さんと出会い、この世界へ。
「波長が合った」という師匠の下で鍛錬し、師が得意とした女形(女性の人形)に加え、立役(男性の人形)を遣う役も幅広くこなし、品格ある芸を究めた。転機は、50歳の頃に遣った「仮名手本忠臣蔵」の塩谷判官。「(この時)認められたという実感があった」と振り返る。実際にその後、大きな役を得られるようになったという。
師匠の文雀さんもなっていない文化功労者の打診には、一瞬ちゅうちょした。先代の吉田玉男さんや吉田簑助さんら、歴代の文化功労者が脳裏に浮かび、「僕を並べていいのかな」という気持ちは、今も続いている。
[時事通信社]
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