父親殺害容疑、夫婦を再逮捕=有害成分飲ませた疑い―浅草の家族連続殺人・警視庁
東京・浅草で旅館を経営していた夫婦が自動車用不凍液などに使われる有害成分「エチレングリコール」を飲ませ、次女と夫の姉を殺害したとされる事件で、同様の手口で夫の父親も殺害したとして、警視庁浅草署捜査本部は25日、殺人容疑で、細谷健一(43)、妻志保(38)両容疑者=いずれも殺人罪で起訴=を再逮捕した。
捜査本部は2月に次女、3月に夫の姉に対する殺人容疑で両容疑者を逮捕。捜査の結果、病死とみられていた父親も、エチレングリコールを飲まされた可能性が高いと判断した。両容疑者は黙秘しているが、遺産相続などが主な殺害動機とみているという。
再逮捕容疑は2017年8月~18年6月ごろ、自宅などで健一容疑者の父、勇さん=当時(73)=にエチレングリコールを摂取させ、同年6月5日に殺害した疑い。
捜査本部は入院先の病院に残された検査結果の推移や血液の検体を分析。法医学者から「エチレングリコールを反復して摂取し、敗血症で死亡したとみられる」との所見を得た。エチレングリコールの購入履歴や動機をうかがわせる夫婦間のLINEのやりとりなど状況証拠も集めたという。
登記簿などによると、勇さんは自身が設立した革製品の販売・加工会社「ホソヤ産業」で社長を務め、旅館経営も手掛けた。17年3月以降、体調を崩し入退院を繰り返すようになった。健一容疑者は勇さんの死亡直前に同社を継ぎ、その後自宅マンションなども相続した。
事件は23年3月に両容疑者の次女美輝ちゃん=当時(4)=の死亡をきっかけに発覚した。美輝ちゃんの体内からエチレングリコールや統合失調症の治療薬が検出され、警視庁は今年2月、殺人容疑で両容疑者を逮捕した。
その後、18年4月に死亡した健一容疑者の姉美奈子さん=当時(41)=の腎臓からもエチレングリコールに由来する成分が検出されたことが判明し同容疑で再逮捕した。
健一容疑者の母八恵子さん=当時(68)=も同年1月に死亡しており捜査本部は経緯を調べる。
東京地検は半年間の鑑定留置を経て今年9月、両容疑者を美奈子さん殺害の罪で起訴。美輝ちゃん殺害についても捜査を継続している。
◇細谷健一容疑者一家を巡る経緯
2018年1月21日 細谷健一容疑者の母八恵子さん=当時(68)=が死亡
4月29日 姉美奈子さん=同(41)=が死亡
6月 1日 同容疑者が「ホソヤ産業」の社長に就任
5日 父勇さん=同(73)=が死亡
7月27日 妻志保容疑者が同社の役員に就任
19年1月 次女美輝ちゃん誕生
3月 志保容疑者が放火容疑で逮捕され、児童相談所が美輝ちゃんらを保護
9月 美輝ちゃんの保護を解除
23年3月13日 健一容疑者の通報で美輝ちゃんが救急搬送され、死亡
24年2月14日 美輝ちゃん殺害容疑で両容疑者を逮捕
3月 6日 美奈子さん殺害容疑で両容疑者を再逮捕
18日 両容疑者を鑑定留置
9月27日 東京地検が美奈子さんへの殺人罪で両容疑者を起訴
10月25日 勇さん殺害容疑で両容疑者を3度目逮捕
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