ハマス最高指導者、イスラエルに精通の「殺し屋」=奇襲攻撃立案
【カイロ時事】パレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏は、昨年10月の奇襲を首謀したとされ、イスラエル軍が行方を追っていた。イスラエルの刑務所に収監されていた22年間でヘブライ語をマスターし、同国社会に精通した人物と評される。一方で、暴力的な側面から「ハンユニスの殺し屋」との異名も持ち合わせていた。
シンワル氏は1962年、ガザ南部ハンユニス生まれ。48年のイスラエル建国に伴って故郷を追われたパレスチナ難民の両親の下、貧しい環境で育った。
大学時代から対イスラエル闘争に参加し、87年に創設されたハマス最初期のメンバーとなった。イスラエルの内通者などを処罰する役割を担い、パレスチナ人殺害に関与したとして88年にイスラエルに拘束された。終身刑を言い渡されたが、2011年の捕虜交換でガザに帰還。17年からガザ地区トップを務め、今年7月の最高指導者ハニヤ氏暗殺を受け、8月に後任に選出されたばかりだった。
シンワル氏が釈放時にイスラエルで収監されているすべてのパレスチナ囚人釈放を誓ったことが奇襲攻撃を立案した動機の一つとも言われている。イスラエルのジャーナリスト、シュロミ・エルダール氏は「奇襲には仲間の奪還のためには犠牲もいとわないシンワル氏の人間性が反映された」とみている。
ハマスの内部文書を入手した米紙ニューヨーク・タイムズによれば、シンワル氏らは奇襲に関する会合を複数回開催。当初22年秋に攻撃を実施する計画だったが、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイランに参加を要請するために延期した。しかし単独攻撃に踏み切り、ヒズボラなどが同時攻撃を仕掛けることはなかった。
[時事通信社]
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