手話ロックバンド、結成35年=音楽を体感し「自己流に楽しむ」―メンバー3人が聴覚障害者・名古屋

名古屋市を中心に活動する4人組手話ロックバンド「BRIGHT EYES super―duper」が結成から35年を迎えた。ドラム以外の3人は全員聴覚障害者だが、音の振動を感じながらリズムを取り、演奏する。リーダーでギターの木村正明さん(55)は「自己流に音楽を楽しむことができると伝えたい」と力を込める。
唯一の健常者でドラムの成田佳総さん(59)が愛知県立名古屋ろう学校(同市)に教諭として着任した直後の1989年5月、教え子の木村さんから「音楽クラブを設立したい」と伝えられたのをきっかけにバンドを結成。木村さんとベースの山本智久さん(52)は、健常者同士の日常会話を聞き取ることができない「最重度難聴」で、演奏中はドラムの動きを見て音の振動を感じながらリズムを取る。ボーカルの鈴木俊祐さん(53)はメンバーを背にヘッドマイクを付け、手話をしながら歌うため、ドラムやベースの振動がさらに重要になる。成田さんは「健常者の『聞こえる』とは別の感覚。耳ではなく全身で音を感じている」と説明する。
名古屋市で9月に行われたライブには全10組中、唯一の手話ロックバンドとして参加。会場には約30人が集まった。テンポの速い迫力ある演奏が始まると、観客は息をのみステージを見詰めた。手話をテーマにした楽曲「Sign Love」では観客と一緒に「友達」などの簡単な手話をし、会場が一体に。オリジナルの5曲を演奏し終えると、大きな拍手が響き渡り、顔の両側で手をひらひらさせる手話の拍手をする観客もいた。主催者の古山督章さん(60)は「衝撃だった。振動でリズムを取り、歌が歌えるのか」と目を丸くしていた。
木村さんは中学生の頃ギターを弾こうとしたが、うまく弾けず挫折した。それでも数年後に音楽番組で見た歌手の長渕剛さんのパフォーマンスに胸を打たれ、努力を続けたという。「聞こえるとか聞こえないではない。ギターが弾けるのは努力をしたから」と胸を張り、「何かの壁にぶつかった時に僕らのことを思い出してほしい」と語った。
[時事通信社]
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