被爆者高齢化、継承に課題=「どうつないでいくか」―平均85歳超、団体存続危機
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞の受賞決定で、改めて核兵器廃絶への声が世界に広がった。ただ、被爆者の平均年齢は85歳超。「核なき世界」に向け、凄惨(せいさん)な体験が直接語られる時間は限られる。
厚生労働省によると、3月末時点で被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は10万6825人。10年前の半数ほどに減り、平均年齢は85.58歳になった。かつて47都道府県で組織されていた被爆者団体は、11県で活動休止などに追い込まれ、来年3月には北海道被爆者協会が解散する。
「どうつないでいくか、皆苦労している」。広島市で胎内被爆した日本被団協事務局次長の浜住治郎さん(78)は、受賞決定から一夜明けた12日の記者会見で「組織の担い手がいない。財政的にも厳しい」と現状を説明した。支援団体などの協力を得て活動する被爆2世もいるが、「いつまで続けられるか分からない」と話す。
受賞決定を喜びつつ、「厳しい中でも、核兵器廃絶の願いがかなえられなければ、まだ役割を果たしたことにならない」と語った。
代表委員を務める田中熙巳さん(92)は、これまでの運動を「期待した通りには発展していない」と言う。「教育と生活の環境が全く違う若い人たちを引き付けていくことができないのが悩み」と心情を明かし、「核兵器をなくす大きな力になればいい」と受賞決定の効果を期待した。
ノルウェー・ノーベル賞委員会も「いつの日か歴史の証人としての被爆者は、われわれの中にいなくなるだろう」と指摘。フリードネス委員長は「若い世代が体験者(被爆者)と共に、世界中の人々を刺激し教育していくことが、核のタブーを維持するために重要だ」と述べている。
[時事通信社]
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