地方創生、防災に力点=竹下、渡辺氏の言葉引用―石破首相の所信表明演説
石破茂首相は4日の所信表明演説で、地域活性化や災害対策に力点を置いた。地方創生交付金倍増や「防災庁」設置など肝煎り政策を盛り込み、演説の最初と最後の2度にわたり「全ての人に安心と安全を」と意義を訴えた。
演説では、「ふるさと創生」を掲げた竹下登元首相の「地域が自主性と責任を持って、地域づくりを自ら考え、自ら実践していく」との言葉を紹介。10年前に初代の地方創生担当相を務めた経験も振り返り、「地方こそ成長の主役」と自身の強い思い入れをアピールした。
大規模災害への備えは、自民党総裁選を通じて繰り返し主張したテーマ。演説では「人命最優先の防災立国を構築する」と宣言した。
政治の信頼回復も重視。「政治家の仕事は勇気と真心を持って真実を語ることだ」という渡辺美智雄元副総理の教えに言及しつつ、「国民の納得と共感を得られる政治を実践する」と強調した。
最も多く分量を割いたのは経済政策だ。首相周辺は「特に力を入れて取り組みたい」と説明する。ただ、賃上げや投資の促進など岸田政権から引き継いだ内容が大半で、目新しさは乏しい。
竹下、渡辺両氏のエピソードは、首相が「感銘、影響を受けた」と希望し、演説に盛り込まれた。岸田文雄前首相の退陣に触れ、「政治改革を前に進める思いを持って決断した」と持ち上げたが、今後の「後ろ盾」を得るための配慮も透ける。一方、故事成語の引用はなかった。
文字数は約9500字。2012年に自民党が政権復帰して以降の所信表明で最長となった。
[時事通信社]
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