裏金議員、重複見送りに戦々恐々=石破首相は世論と板挟み―次期衆院選
次期衆院選が27日投開票の見通しとなる中、自民党派閥の裏金事件に関係した議員について、比例代表との重複立候補を認めない案が同党内で浮上した。選挙基盤の弱い議員は当落に直結しかねず戦々恐々。ハンドリングを間違えば執行部への反発は必至で、石破茂首相は厳しい世論と挙党態勢構築との間で苦慮している。
「事件を長引かせるのはよくないのではないか」。2日、党ベテランから新たなペナルティーへの懸念を伝えられた首相は「よく話し合います」とかわした。
首相が衆院選「27日投開票」の意向を表明したことで、政治資金収支報告書の不記載が判明した旧安倍派議員らへの対応は喫緊の課題となった。「裏金議員」に厳しい対応を求める世論は強く、首相も総裁選で当初、公認を「厳正に判断」すると踏み込んだが、その後は議員票の積み上げを意識し、あいまいな説明を繰り返した。
執行部で折衷案として検討されているのが重複立候補の禁止や、比例代表名簿の順位を下位とする案だ。森山裕幹事長は先月30日の記者会見で「国民の信頼に値する候補決定(の在り方)を考えなければならない」と述べ、「裏金議員」に何らかの対応を検討する考えを示唆していた。
党幹部は「裏金議員が比例復活し、まじめに活動してきた議員が落選することがあっていいのか」と正当性を強調。党関係者も「これぐらいしなければ国民を納得させられない」と話す。
裏金事件の舞台となった旧安倍、旧二階両派では不安と不満が渦巻く。森山氏の発言直後、議員宿舎に集まった旧安倍派議員からは「早速余計なことを言う」との恨み節が上がった。政権復帰した2012年衆院選以降に初当選した中堅・若手らは厳しい選挙を経験しておらず、閣僚経験者は「旧安倍派にとっては『生きるか死ぬか』だ」と神経をとがらせる。
首相としては裏金事件の逆風下、世論の離反を防ぎつつ、各議員の選挙活動にハッパを掛けるための「カンフル剤の効果」(政府関係者)を期待している面もありそうだ。
ただ、今回対象となる「裏金議員」の線引きなどを巡り遺恨が残るのは避けられそうもない。総裁選や政権人事で生じた亀裂は深まる気配もあり、旧安倍派関係者は「選挙結果次第では『石破降ろし』が起こる」と漏らした。
[時事通信社]
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