「緩衝地帯」求める強硬論=外交解決に疑問の声―イスラエル
【エルサレム時事】イスラエル政府は26日、日米などによるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの一時停戦案を拒否し、戦闘を強化する構えを堅持した。イスラエル国内では、外交的解決に疑義を呈し、ヒズボラによる対イスラエル越境攻撃の拠点となっているレバノン南部に「緩衝地帯」をつくる必要があるという強硬論が高まっている。
一時停戦を巡っては、ネタニヤフ首相が「ゴーサイン」を出したという一部報道もあったが、首相府は「正確ではない。首相は軍に全力で戦闘を続けるよう指示した」と否定。この直後、カッツ外相がX(旧ツイッター)で「停戦はない」と明言した。極右政党党首のスモトリッチ財務相も「深刻な打撃から立ち直る時間を敵(ヒズボラ)に与えてはならない」と主張した。
一時停戦案は、期間中に当事者が全面的な停戦に向けた交渉を進める内容。しかし、シンクタンク、エルサレム安全保障外交センターの上級アナリスト、ヨニ・ベンメナヘム氏はカッツ氏の拒否表明に先立ち、取材に「外交的解決では問題を解消できない」と強調していた。
ベンメナヘム氏はその上で、避難を余儀なくされたイスラエル北部の住民の帰還を保証できないなら、イスラエル軍がレバノン南部に侵攻し緩衝地帯を設置する必要があると訴えた。ヒズボラの対戦車ミサイルの射程距離を超える幅10キロを想定し、戦闘員のイスラエル侵入を防ぐため、軍部隊を駐留させるべきだとの認識も示した。
イスラエル軍も緩衝地帯の設置を構想していると報じられている。地元メディアの世論調査では、90%以上が一時停戦に反対しており、軍の方針を支持する声は根強い。
[時事通信社]
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