夫「今までありがとう」=自宅ごと濁流に、妻が犠牲―能登大雨・石川県輪島市
記録的な大雨に見舞われた石川県・能登半島の輪島市で25日、安否不明だった井角祐子さん(68)が遺体で見つかった。大雨の発生から5日目。夫の隆さん(70)は「今までありがとう、の一言だ」と声を絞り出した。
大雨特別警報が出た21日午前、2人は同市久手川町の自宅リビングでくつろいでいた。その後、近くを流れる塚田川が氾濫し、自宅前の道路は冠水。隆さんは、2階に避難するよう祐子さんに伝え、車を高台に移動させた。
しかし、河川氾濫による濁流が激しくなり、隆さんは自宅に戻れなくなった。ようやく隣家の2階にたどり着いたが、そこから見えたのは、祐子さんが残る自宅が濁流に流される様子だった。
翌日から毎日自宅跡を訪れ、祐子さんを捜し続けた。「下流から上流まで毎日2往復はした」と隆さんは振り返る。自宅付近からは、祐子さんが使っていた菓子の入れ物などが見つかったという。
消防によると、祐子さんの遺体は25日午前、約2メートル積もった土砂の下から見つかった。「2階ではなく山の方へ避難させたら助かっていたかも」。元日の能登半島地震では自宅の屋根を修理する程度の被害で済んだといい、隆さんは「今回の大雨も大したことはないと甘く見ていたかもしれない」と悔やんだ。
2人が久手川町に住み始めたのは10年前。それまでは隆さんの仕事の都合で東京や金沢市などを転々としたが、定年退職を機に隆さんの故郷に帰った。
大雨がなければ孫2人が22日に遊びに来る予定で、祐子さんは手料理を振る舞うのを楽しみにしていたという。一家だんらんの前日に起きた悲劇。「本当に見つかって良かった。今までありがとう、の一言しかない」。
[時事通信社]
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