「論戦力」総裁選の焦点に=野田新代表、自民が警戒
立憲民主党代表に野田佳彦元首相が就任したことは、「3強」の構図となった自民党総裁選(27日投開票)にも影響を与えている。政界有数の論客で知られる野田氏と国会で対決するには、新総裁の資質として「論戦力」が求められるためだ。
「毎朝街頭演説に立つ政治への情熱。一般の方への訴求力。そういうものを持った方だ」。立民新執行部について問われた石破茂元幹事長(67)は24日、埼玉県春日部市で記者団にこう答えた。陣営には野田代表就任で、同じく論客で知られる石破氏への「待望論」が強まるとの期待がある。
警戒を強めるのは小泉進次郎元環境相(43)の陣営だ。小泉氏が目玉公約に掲げた解雇規制見直しは具体論を欠き、討論会での外交を巡る発言も「正面から答えていない」といった批判が上がる。陣営幹部の小倉将信前こども政策担当相は「野党がどうこうよりも、自民自体が魅力ある政党として信頼を得られるかがポイントだ」とかわす。
石破、小泉両氏と上位争いを繰り広げる高市早苗経済安全保障担当相(63)にも懸念材料だ。高市氏にとって、中道保守寄りのスタンスとされる野田氏との論戦は「相性が悪い可能性がある」(陣営幹部)ためだ。「岩盤保守」に支持基盤を置き、首相就任後の靖国神社参拝を公言する高市氏の立ち位置について、政府関係者は「野田氏との比較で言えばタカ派色が際立ってしまうだろう」と指摘する。
一方、立民は早期の衆院解散論を強くけん制する。笠浩史国対委員長は24日、記者団に臨時国会で新首相に対する各党代表質問や予算委員会審議に加え、能登半島地震被災地での大雨災害への支援に向けた補正予算成立の必要性を強調。「やることをやって解散しろと厳しく対応したい」と述べた。
「ポスト岸田」候補のうち、臨時国会で直ちに解散に打って出る可能性を示唆する小泉氏に対し、石破氏は予算委質疑を経た上での衆院解散を主張。石破氏は24日、補正予算への対応を問われ「何が一番被災地のためになるのかご意見をよく検討したい」と述べた。閣僚経験者は「正々堂々、正面から臨んだ方がいい。急げば党利党略だと思われる」と語る。
もっとも自民内は「間髪入れずに解散するしかない」(幹部)との声が多いのも事実。解散時期に関する各候補の温度差が、国会議員の心理に作用する可能性も否定できない。
[時事通信社]
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