2024-09-21 10:43

被爆体験者、助成拡充へ=岸田首相が控訴表明、訴訟は継続―長崎知事、市長と面会

 国が定める被爆援護対象区域の外で長崎原爆に遭ったため被爆者と認定されていない「被爆体験者」について、岸田文雄首相は21日、被爆者と同等の医療費助成を行うと述べた。同日からの訪米を前に、首相公邸で大石賢吾長崎県知事や鈴木史朗長崎市長と面会。終了後の取材で明らかにした。
 一方、被爆体験者が被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟で、原告の一部を被爆者と認定した長崎地裁判決については、政府として控訴する方針を表明。放射性物質を含む「黒い雨」の降った地域が国の主張と判決の認定とで異なるなどしており、武見敬三厚生労働相は、「司法判断の根拠に対する考え方が、最高裁で確定した先行訴訟と今回の判決で異なるため、上級審の判断を求める必要がある」と説明した。
 岸田首相は8月、長崎市で被爆体験者と面会した際、「課題を合理的に解決できるよう、対応策を調整するように」と同席した武見厚労相に指示。今月9日の長崎地裁判決も踏まえ、政府は救済策について検討を進めていた。 
 同地裁は、援護対象区域外でも「黒い雨が降ったと認められる地域がある」と判断し、死亡した4人を含む原告44人のうち、該当地域にいた15人(うち2人死亡)への手帳交付を命じた。その他の原告については放射性物質が降下した事実は認められないとし、訴えを退けた。
 被告は県と市だが、国側も厚労相が訴訟参加人となっている。判決を受け、大石知事と鈴木市長は11日、控訴見送りを求める原告らの訴えを同省幹部に伝えたほか、18日には岸田首相とオンラインで面談し、控訴を断念したい意向を伝えていた。
[時事通信社]

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