2024-09-20 18:08国際

「単独犯の偶発的事件」=中国深センの日本人男児襲撃を地元紙詳報―当局、社会不安警戒

 【深セン時事】中国南部・広東省深セン市で日本人男児が刺されて死亡した事件で、地元有力紙・深セン特区報は20日、警察から得た情報として「偶発的事件だった」とSNSで伝えた。44歳の男による単独の犯行で、容疑を認めているという。日本政府の情報提供要請を受け、中国当局が同紙を通じて事件の詳細を公表した形だ。
 中国では6月、東部の江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が男に刃物で襲われ負傷し、案内係の中国人女性が死亡する事件が発生。その時も中国当局は「偶発的事件だった」と説明した。
 同紙によると、容疑者の男は定職に就いていない。2015年に公共の通信設備を壊して警察沙汰になったほか、19年には公共の秩序を乱したとして深センの警察に拘束された。日本人を狙った犯行なのかや殺意があったのかを含め、動機は不明。同紙は容疑者について「刃物で児童を傷つけた行為を認めている」とし、「さらに調べが進められている」と報じた。
 中国当局は今回の事件によって、経済を中心に日本との関係が悪化する事態を望んでいない。類似の事件が相次いで中国社会が不安定化することも警戒している。同紙はSNSで論評記事も配信し、「犯行を強く非難する」と表明。「この容疑者の暴力行為は一般の中国人の素養を代表するものでは決してなく、社会全体の状況を反映するものでもない」と強調した。
 同紙などによれば、事件は18日午前7時55分(日本時間同8時55分)、深セン日本人学校の校門から約200メートル離れた場所で発生。その10分後に救急車が現場に駆け付け、男児は病院に運び込まれた。複数の病院から専門家が集まり、救急治療の支援に当たったが、19日午前1時36分に死亡した。
 事件発生を受け、警察などが学校周辺の警備を強化。地元教育当局が、在校生に対するカウンセリングのチームも立ち上げたとしている。 
[時事通信社]

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