「大きな悲鳴」と付近住民=花手向ける市民も―深セン男児刺殺事件
【深セン時事】「大きな悲鳴が響いた」。中国南部・広東省深セン市の日本人学校に登校中の男児が男に刃物で切り付けられ死亡した事件の発生から丸1日たった19日、現場付近の住民が当時の状況を語った。日本人学校に花を手向けに訪れる人もおり、市民の間でも衝撃が広がっている様子がうかがえた。
「突然、女性の大きな悲鳴が聞こえた。道路を見下ろすと、歩道に血のようなものが見えた」。事件現場の斜め向かいに立つ高層マンションに住む女性(75)は、当時の様子をそう振り返った。女性は、ちょうどベランダで洗濯物を干していたという。警察に通報しようとしたが、すぐに付近の治安当局者らが駆け付け、救急車も到着。現場は騒然となった。女性は「日本人学校の近くには警察も配置されているのに大胆だ。国同士の関係にはいろいろあるが、子供には何の罪もない。冥福を祈っている」と沈痛な面持ちで話した。
別のマンションに住む女性も、男児が救急車に運び込まれる様子を目撃。母親とみられる女性が泣き叫ぶ声も聞いたといい、「この辺りの住民は皆憤慨している」と語った。
現場にはシンガポールや隣接する香港のメディアも取材に駆け付けた。一方、中国メディアの姿はわずかで、官製メディアは事件をほとんど報じていない。だが、SNSなどで情報は広まっており、男児が通っていた日本人学校には献花に訪れる市民の姿もあった。
校門の前に花を置いた40代の男性は、「亡くなった児童を追悼したいと思いやってきた」と話した。自身も中学生と小学生の2人の子供がいるといい、「子供を襲うなんて最低だ。今の中国では極端な意見を持つ人が目立つが、多くの人は礼儀正しいことを知ってほしい」と訴えた。
[時事通信社]
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