おせち商戦、若者に照準=AI監修、昭和レトロ路線も
大手百貨店やスーパーで2025年正月向けのおせち商戦が動きだした。コロナ禍の巣ごもり需要で拡大が続いてきたおせち市場だが、24年は販売額が減少に転じるなど頭打ち感もある。こうした中、各社が照準を定めるのが若い世代。人工知能(AI)が監修した「未来のおせち」や人気の「昭和レトロ」デザインなど趣向を凝らした商品で訴求を図る。
イオンは生成AIを活用したおせちを販売。「未来のおせち」といったさまざまなキーワードを入力し、生成された画像を基に集めた食材で構成。青い包みのチョコレートや金粉をまぶした唐揚げなど、これまでにない彩りのおせちが出来上がった。味付けは人間が考えたという。
高島屋の「アデリアレトロおせち 和洋 三段重」(1万8360円)は、昭和レトロなデザインが特徴のガラス食器メーカーとコラボ。赤と白のかわいい花柄を重箱や風呂敷に配した。料理の内容は、だて巻きや黒豆といった定番のほか、「抹茶ガトーショコラ」「マロンケーキ」などスイーツづくしの一段も。「若い世代に楽しんでもらえる内容にした」(同社バイヤー)という。
大丸松坂屋百貨店は、写真共有アプリ「インスタグラム」で70万人以上のフォロワーを持つ料理家「ぐっち夫婦」が監修したおせちを販売。SNSで影響力のあるインフルエンサーを通じて従来の顧客層より少し若い30~40代にアピールする。
コロナ禍で高級化が進んだおせちだが、物価高が続く中で節約志向にも対応する。松屋は食材を切り替えることで品質を保ちつつコストを抑制。そごう・西武は、10月末までの注文で一部商品の送料を無料にする「早割」を導入する。
調査会社の富士経済(東京)によると、重詰めおせちの販売額は21~23年は前年比で平均1割程度伸びていたが、24年は一転して1.5%減。25年も縮小する見通しで、各社ともコロナ禍後の市場の変化への対応を迫られている。
[時事通信社]
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