2024-09-10 18:28

二階派元会計責任者に有罪=「政治不信につながる悪影響」―裏金事件で初判決・東京地裁

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた「志帥会」(二階派)の元会計責任者永井等被告(70)の判決が10日、東京地裁であった。向井香津子裁判長は「国民の政治不信につながる悪影響は多大だ」として禁錮2年、執行猶予5年(求刑禁錮2年)を言い渡した。一連の事件で判決は初めて。弁護人によると、被告側は控訴しない方針だという。
 向井裁判長は、二階派では派閥のパーティー券の販売目標額を定め、それを超えて売った場合は議員側に還付していたと認定。複数の議員は超過分をそもそも派閥に納めていなかったが、永井被告は容認し、正確な収入額と還付総額を把握していなかったと指摘した。
 その上で、「収入額や使途といった重要な金銭の流れに国民の目が届かなくなった。実態とはかけ離れた虚偽の会計処理を長年継続的に行っており、虚偽記載額は大規模だ」と非難。「会計責任者としての重責を適正に全うしようとした形跡はなく、派閥の都合や利害のみを考えた動機に酌量の余地はない」とした。
 一方、永井被告が反省し、前科がないことなどから執行猶予を付けた。
 判決によると、永井被告は志帥会の2018~22年の政治資金収支報告書に計約2億6400万円を収入として、計約1億1600万円を支出として記載しなかった。
 事件では他に衆院議員池田佳隆被告(58)と秘書(46)が逮捕、起訴されたほか、参院議員大野泰正被告(65)と秘書(61)、「清和政策研究会」(安倍派)の会計責任者松本淳一郎被告(76)が在宅起訴された。松本被告の判決は30日に言い渡される。 
 
 ◇派閥裏金事件を巡る経緯
2022年11月    大学教授が自民党5派閥を刑事告発(23年1月まで)
  24年 1月 7日 東京地検特捜部が衆院議員池田佳隆被告と秘書逮捕
        19日 安倍派会計責任者や二階派元会計責任者、参院議員大野泰正被告ら8人立件
        26日 池田被告と秘書を起訴、安倍派7幹部ら不起訴
      3月25日 二階俊博元党幹事長が次期衆院選への不出馬表明
      4月 4日 自民党が安倍、二階両派の議員ら39人の処分決定
      5月10日 東京地裁で安倍派会計責任者の初公判
      6月19日 二階派元会計責任者の初公判
            国会で改正政治資金規正法が成立
      8月14日 岸田文雄首相が退陣表明
        29日 特捜部が堀井学前衆院議員を略式起訴、東京簡裁が略式命令
      9月10日 二階派元会計責任者に禁錮2年、執行猶予5年の判決
※関係者への取材や発表などに基づく
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集