上地、激闘制し2冠=4大会目、最高の輝き―車いすテニス〔パラリンピック〕
車いすテニス女子の上地はダブルスを制した5日の夜、あることに気が付いた。自身が出場した過去3大会では、ダブルス優勝者がシングルスで金メダルを取っていた。「自分にとってもチャンスだし、絶対にできると思った」。自信を胸にセンターコートに立ち、2冠を成し遂げた。
2021年東京大会の決勝と同じ相手の絶対女王、デフロートには直近まで実に29連敗。だが7月の大会で約3年5カ月ぶりに勝利した。悪いイメージを払拭し、その白星で得た戦略をぶつけた。
デフロートはダブルス決勝の不調を引きずり、サーブではダブルフォールトを連発。最終セットになって確実にサーブを入れにきたところを上地は見逃さず、正確なリターンから打開した。角度をつけた返球で何度もエースを奪い、優位に立った。
普段は冷静に試合を進める上地だが、この日は珍しく「カモン」と大声を出して自身を鼓舞。優勝を決めると、両手で顔を覆って号泣した。この一戦で全てを出し切った。しばらくその場から動けないほどの激闘だった。
初出場だった12年ロンドン大会を終えた後、引退を考えたこともある。そこから12年かけ、30歳になってたどり着いた頂点。「これまでやってきて良かった。一緒に諦めずに信じてくれた周りの方にも感謝の気持ちを伝えたい」。感無量の表情でそう話した。 (時事)
[時事通信社]
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